今回は。。。トリーメク配合錠(以下トリーメクとしています。)についての理解度確認テストをしてみましょう^^
Q1.トリーメクとは【 A 】感染症の治療薬です。
Q2.トリーメクは、核酸系(ヌクレオシド系)【 B 】阻害剤と【 C 】阻害剤の配合剤です。
Q3.トリーメクには、【 D 】【 E 】【 F 】という3種類の薬剤が含まれています。
Q4.初回のARTにおいて推奨されている治療薬の中で、1日1回1錠の服用だけで大丈夫な配合薬は、トリーメク、コムプレラのほか、【 G 】があります。
Q5.トリーメクを飲んでいる間は、サプリメント(鉄剤、カルシウム含有製剤)やハーブの一種である【 H 】を含む食品は避けなければなりません。
Q6.トリーメクは、外国企業であるヴィーブヘルスケア社(本社は英国ロンドン)が取り扱っているものの、日本の製薬会社である【 G 】もかかわっています。
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いきなりだと難しいですよね^^;
よく分からなかった方は、「HIV治療薬」「ARTのルール」「注意したい薬の飲み合わせ、食べ合わせ」も参照してください。
答えは最後に付記するとして、トリーメク(略称TRI)について、できるだけ簡単に整理しておこうと思います。
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トリーメクは「ARTのルール」で取り上げたように、ARTにおける治療薬の一つとして推奨されています。
トリーメクは、全く新しいお薬というわけではなく、既存の「エプジコム」と「テビケイ」という2つの薬が1つになったものなので、それぞれの特徴を併せ持っている複合薬(配合剤)と考えると分かりやすいかもしれません。
そのためトリーメクには、これら2つのお薬を同時に飲む場合と全く同じ効能があります。
- エプジコム–>>ABC(アバカビル)300mgと3TC(ラミブジン)600mgが配合されている核酸系(ヌクレオシド系)逆転写酵素阻害剤(NRTI)
- テビケイ–>>DTG(ドルテグラビル)50mgが含まれているインテグラーゼ阻害剤(INSTI)
写真左上がエプジコム、左下がテビケイ、写真右がトリーメクです。
巨大で飲み込みにくかったエプジコムと比較して、厚みが薄くなって、平面的に広がったような形状をしており、色合いもエプジコムのように毒々しさはなくなり、意外と飲み込みやすくなっていると感じます。
1日1回1錠を、毎日決まった時間に飲むことが必要です。食前、食後、空腹時、いずれでも問題ありません。仮に飲み忘れた場合は、気づいた時点ですぐに1回分を飲みます。ただし次の服用時間が近い(4時間以上ない)場合は、飲み忘れた分を1回飛ばして、次の服用時間にいつも通り1錠飲むようにします。絶対に2回分を1度に飲まないでください。判断に迷ったり不安なときは担当医や薬剤師に相談しましょう!
トリーメクを飲んでいる間は、ハーブの一種である「セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セントジョーンズワート)」を含む食品は避けてください。トリーメクの効果が弱くなったり、薬剤耐性が生じる可能性があります!
また、市販の薬やサプリメント(鉄剤、カルシウム含有製剤)などと一緒に服用すると薬の効果が弱くなる場合もあるので、必ず事前に担当医や薬剤師に報告して、その飲み合わせを確認するようにして下さい!
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◆副作用
・まれに以下のような症状が見られることがあります。
- 発疹、発熱、疲労感、お腹の症状(吐き気、嘔吐、下痢など)、呼吸困難、ノドの痛み、せき等
- 皮膚の症状(水ぶくれ、赤み、かゆみ、ただれ、目の充血、唇のただれ、発熱など)
- 重い腹痛、吐き気、嘔吐、すい臓の検査値異常
- だるさ、食欲不振、体重減少、お腹や呼吸の症状
- 手足のしびれや痛み、錯乱、けいれん、心臓の障害など
- 睡眠障害(不眠、異常な眠気など)、頭痛、めまい、気分がふさぐ、脱毛など
・上記以外の症状が出る場合もありますので、何か体の異常を感じたり、いつもと違うと感じた場合は、すぐに担当医や薬剤師に相談してください!
・また、自覚症状を伴わない副作用(臨床検査値の異常など)が起こる場合もありますので、必ず定期的に病院に通いましょう。
◆過敏症(アレルギー症状)
・海外の臨床試験では、アバカビル(トリーメクに含まれる成分)を飲んだ人の20人に1人くらいに、過敏症(アレルギー症状)が出たと報告されています。
・この副作用の発現率には人種差があることがわかっており、日本人ではほとんど報告されていません。
・この薬でアレルギー症状が出て服用を中止した場合、その後もう一度この薬を飲むと非常に重いアレルギー症状が出る場合があります。
・多くの場合は服薬開始から6週間以内に出ますが、それ以降に出たケースもあります。
・主な症状は、発疹のほか、次の4つのグループのうち2つ以上のグループが一緒に出た場合はアレルギー症状の可能性があります。
- 発熱
- 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛
- ねむけ、倦怠感、筋肉や関節の痛み、頭痛
- 息切れ、ノドの痛み、せき
・アレルギー症状と思われる症状が出た場合は、すぐに担当医や薬剤師に相談してください!
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また、服用を再検討すべき人(禁忌)として、以下の2つのパタンが具体的にあげられています。
- ドルテグラビル、アバカビル、ラミブジンに対して過敏症がある方
- 重度の肝障害のある方
さらに、慎重に服用すべき人として、以下の5つのパタンが具体的にあげられています。
- すい炎を発症する可能性がある方
- 軽度または中程度の肝障害のある方
- B型またはC型肝炎ウイルスに感染している方
- 高齢の方
- 妊婦または妊娠している可能性がある方
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トリーメクは、ARTにおける治療薬の一つとして推奨されており、A-1という最も高い評価となっています。
他にA-1という評価になっている4つの薬(組み合わせ)は、いずれもツルバダ(の成分)を含む薬ばかりなので、あまり深く考えずに素直に考えれば。。。
「ツルバダ+テビケイ」の組み合わせが、最も評価が高いような気もしますが。。。
トリーメクやスタリビルドのように「1日1回1錠」だけで済むお薬も、飲みやすさや管理のしやすさの面から、魅力的な薬と言えそうです。
ただ目的は、HIV(ウイルス)の増殖を阻むことなので、それが達成できれば、(気になる副作用などが見られない限り)いたずらに薬を変える必要はないように思います。
なおトリーメクに含まれる成分のうち、最も期待されている「ドルテグラビル(テビケイ)」を開発する際には、日本の塩野義(シオノギ)製薬も深く関わっています。
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最後に、冒頭の答えをまとめておきます。
A:HIV(ウイルス)
B:逆転写酵素
C:インテグラーゼ
DorEorF:DTG(ドルテグラビル)orABC(アバカビル)or3TC(ラミブジン)
G:スタリビルド
H:セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セントジョーンズワート)
I:塩野義(シオノギ)製薬
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