今回は、HIVの感染確率について、個人的な見解をまとめてみたいと思います。
最初にお断りをしておくと、感染確率が限りなくゼロに近くても、感染するときは1回でも感染するので、「感染確率が低いから大丈夫というものではない!」ということは肝に銘じてほしいところです。
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HIVは感染力が弱いウイルスだと言われています。例えば、医療関係者の針刺し事故における感染率は、
B型肝炎(HBV)30%
C型肝炎(HCV)3%
HIV 0.3%
となっており、HIVに感染するためには、ある程度まとまった数のウイルスにふれないと感染しづらいと考えられています。
そもそもHIVが存在しているところですが、「血液、精液、膣分泌液、母乳など」に多く含まれています。唾液、涙、尿などの体液では他のヒトに感染させるだけのウイルス量は含まれていません。
感染は、粘膜(腸管、膣、口腔内など)および血管に達するような皮膚の傷(針刺し事故など)からであり、傷のない皮膚からは感染しません。
そのため、主な感染経路は「性的感染」「血液感染」「母子感染」となっています。
このうち、血液感染については、輸血や薬物乱用者による注射針の共用などで、ちなみに輸血は80~90%、注射針の共用では0.67%が感染確率だと言われています。
また母子感染についても、何も対処しない場合は25%程度の感染確率ですが、現在は原則として妊婦全員のHIV検査が実施され、適切に対処することで感染確率は0.5%程度まで低下させることが可能になっています。
日本における一般的な感染経路としては「性的感染」に限定してもいいと思うので、ここでは「性交(セックス)」に限定してまとめてみたいと思います。
セクシャリティとセックスとHIVでもふれたのですが、
アナル(肛門)性交 > 膣性交 > オーラル(口内)性交
の順に感染リスクが高くなっています。もう少し詳細に感染確率の数字をまとめてみると。。。
アナルセックス(受け入れ側)0.5%
膣を使ったセックス(女性側)0.1%
アナルセックス(挿入側)0.067%
膣を使ったセックス(男性側)0.05%
フェラチオ(受け入れ側)0.01%
フェラチオ(挿入側)0.005%
といった感じです。概ね、男性(挿入)側の方が、女性(受け入れ)側の1/2程度になっている感じでしょうか。その原因としては、精液に含まれるHIVの量が多いこと、さらには男性性器の方が粘膜の面積が小さいことによると考えられています。
また、この数字を見ると、「ウイルス量」に対する視点が欠けているような気がします。ネットで調べてみると、HIVのウイルス量が10倍になったら、感染確率は2.5倍になると言われているそうです。
このブログで何度も取り上げている
◆HIV感染の臨床経過(模式図)
を見ていただくと一目瞭然ですが、最もウイルス量が多い(=感染確率が高い)のは、感染したばかりの方であることがわかります。
なんとなく「投薬している人」と「未投薬の人」を比較すると、投薬していない未投薬の人の方が健康なのかなと思いがちですが、感染確率を考えると、投薬をしてウイルス量が検出できないほど少ない人の方が、他人に感染させる可能性は小さいんですよね。
ちなみに、4/17時点の自分自身のHIV-RNAは15万コピー/mlということでしたが、人によっては100万コピー/ml以上の方もいるようですから、投薬をして20コピー/mlという検出限界未満の方と比較すると、そのウイルス量は5万倍(!)感染確率は。。。恐ろしいほど違ったものになりますw
HIV検査や治療には、自分自身の体を考えることと同時に、他人に感染させないという視点も重要だということがわかりますよね。
最後に、以上のことを踏まえて、HIV+となってしまった自分なりの(精神的な)感染確率をまとめてみたいと思います。
アナル(肛門)性交 > 50%
膣性交 > 5%
オーラル(口内)性交 > 0.5%
※男(挿入側)は1/2
といった意識で問題ないのではないでしょうか?
感染確率はたいしたことはないという意識が感染を拡大させている一因のように思いますから。
そういえば、とある「風俗店」で、生のアナル性交をウリにしている女性がいる格安の店舗が実在しているそうです。
女性の場合、セックスのリスクとして「妊娠」があるので、アナル性交だったら妊娠することもないし。。。といった意識があるのかもしれないけど、HIVや性病のリスクもきちんと意識して欲しいものです。
何度も繰り返しますが、HIVはセクシャリティ(特に男性同性愛者)の病気ではなく、セックス(特にアナルセックス)が重要ですからね!
特に、女性や受け入れ側の男性(いわゆるウケ)には、感染リスクが高いことを十二分に理解して、セイファーセックス(=コンドームをつけること)を心がけて欲しいものです。
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