HIV感染者は公的助成制度を受けるべきか否か~投薬前の方へ伝えたいこと~

先日、とあるサイトで、気になる記述を見かけました。

それは、HIV感染者の方のものだったのですが。。。

その方は、すでに投薬をスタートさせている方のようだけど。。。

公的な助成制度を、あえて使わないで治療している(健康保険制度の高額療養費の申請のみ)という内容でした。

もちろん公的助成制度を自分の意思で「拒否」することは可能なのですが。。。

それは、自分で負担する金額が大きくなることを意味しています。

たぶん、公的な助成を受けることへの抵抗感があったと思うし。。。

それくらいの負担なら問題ないという経済的な余裕から、そう判断されたんだと思われます。

以前も、とある議員さんが「(薬害エイズはいいとして)自分の意思で感染したHIV感染者に対して、なぜ公的な助成をしているのか? 自己責任でいいんじゃないのか?(=公的な助成をすべきではない)」という発言をしていたとご紹介しましたが。。。

同様の意見をお持ちの方は、正直なところ少なくないと思うし。。。

そうでないとしても、「公的な助成を受けることへの後ろめたさ」を感じる人は、日本人の倫理観として、少なくないのかもしれません。

例えば、経済的な状況が最低ラインを下回るような場合は、「生活保護」という制度があるけど。。。

そんな制度に頼るくらいなら、死んだ方がマシだとさえ思う人も少なくないようですが。。。

それも日本人独特の倫理観のせいなのかもしれませんね。

でも、ちょっと待ってください。

国などの行政機関。。。いわゆる「公的機関」というのは、言うまでもなく自分たちが負担している税金で運営されています。

税金というと、すぐに「所得税」や「住民税」を連想する人が多いと思うけど。。。

もちろんそれだけではありません。

最近話題の「消費税」をはじめ、いつの間にか負担している税金って、意外と多かったりします。

また、税金に準ずる「健康保険」や「年金」なども税金(のようなもの)と考えれば、さらに自分たちが負担している税金の負担の重さを実感できると思います(特に、収入が少ない人ほど)。

さらに、何か固定資産(土地や建物)を持っていれば、その事実だけで、有無を言わさず税金の負担を求められ、支払いが滞るものなら、「公的機関」の権限で預金通帳を差し押さえられ、それでもダメだと判断されれば、財産そのもののを差し押さえ、さらには裁判所を通じて強制的に競売にかけられる。。。

普通に生活している方には、想像も付かないかもしれないけど。。。

それはもう「冷酷」としか言いようがない制度になっているのが、実態なのです。

何が言いたいかというと、「お上(おかみ)」とまで言われる公的な存在って、日本人が作り上げてきた意識的なものでしかない。。。強引にまとめると「幻想」とも言い換えられるような存在。。。少なくとも。。。

「自分の命よりも重くはないもの」

だと思います。

ちょっと思想的な論点だから拒否感を持つ方も多いかもしれないけど、重要なポイントなので、あえてそう明言しておきます。

ちょっと話がそれるけど。。。

「死」を感じると、「財産」をどうしよう。。。って考える方も少なくないと思うけど、上記のような考えをすれば、死んだ後の財産なんて、ほんとどうでもいいことだと分かると思いますw

少し極端な話になってしまいましたので、話を戻して。。。いきなり結論をまとめると。。。

HIV感染者の方は、投薬前「積極的に公的制度を活用」して下さい!

何も後ろめたい気持ちを持つ必要はありません!

自分は経済的に余裕があるから必要ない。。。なんていう考えは捨てて下さい!

経済的に余裕があれば、それ相応に負担が増える制度になるように、最初から考えられているので、貴方が心配しなくても大丈夫ですよ^^;

それに、今現在は経済的に余裕があっても、いつどうなるのかなんて、楽観できるものでもありません。

これまでも指摘してきたように、HIVの治療と公的制度は、一部実態にそぐわない部分があります。

具体的には、HIV治療をスタートさせると、基本的には治療が失敗しない限り、状態が悪化することはないということです。

それなのに、現在の公的制度(身体障害者手帳など)は、申請時の状態を元に判断されるので、申請時の判断(等級など)がずっと継続されてしまうことになってしまうのです(治療が失敗して申請時よりも状況が悪化しない限り)。

ということは、一番最初に取り上げた方のように、自分から公的制度を拒否して治療をスタートさせてしまうと、状況が変わって(失業とか)「やっぱり公的制度を適用したい」と気持ちが変わっても、その時には申請すら出来ないことになってしまうのです(治療が失敗しない限り)!

なぜって、治療をスタートさせて(薬のおかげで)状態が良くなっているので、その時は状態(数値)が普通の人と変わらないから、(普通の人と同様に)申請すらできなくなってしまいます。

もし、どうしても公的助成制度を使うことへの抵抗感や後ろめたさを感じるのであれば。。。

あえて公的助成制度を積極的に活用した後に、自分が納得できる範囲で、社会に還元(寄付とかでもいいし)しましょう!

※その方が、どう使われるか分からない税金を払うよりも、自分の考えで社会還元できるから、かえって納得できるかも。。。

重要なことなので、最後に、もう一度論点を整理し直すと。。。

最初から(投薬をスタートする前に)公的制度を拒否してしまうと、後からその制度を使おうと思っても使えなくなってしまうので、あえて公的制度を活用して、その後、自分の意思で社会還元をしていくようにするという方法がオススメだし、それしか選択できないものだと考えて下さい!

これは、身体障害者手帳を使った交通費や施設利用料の減免・免除などにも同様のことが言えると思います。

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