エイズ学会2015参加レポートその1~スカラシップ・プログラム~

【テーマ】

「HIV陽性者の日本エイズ学会への参加~スカラシップ・プログラム10周年を振り返って」

【要旨】

  • スカラシップ制度が始まって10年という節目に当たり、原点を振り返り、今後の課題等を考えてみる

【内容】

<これまでの実績と参加者>

  • 2006年からスカラシップ制度がスタートしたが、利用者は延べ435人(平均43名/年)となっている
  • 当初は、日本製薬工業会のバックアップをもとに、以前は「支援者のラウンジ」を設けたり、「学会ニュース」を配信していた時期もあった
  • スカラシップの制度は、今後の継続のことを考えて、あえて学会とは「別」に設けられている
  • GIPA*という考え方に基づいて
  1. ともに学びあい支え合う
  2. 協働プロジェクトによる調査研究・予防ケア活動
  3. 安心して病気と付き合う
    といった活動を展開している

<スカラシップ利用者の声>

  • 治療を受けている感染者が、医師や研究者といったいろんな立場の専門家と情報を共有できる場として、学会に参加できて良かった
  • 3回目の参加になるが、治療といった話だけでなく、生活や老後、経済的な話など、自分にとって役立つ情報も多いと感じている
  • 普段は病院で話するだけの担当医と、こういった場で話が出来て良かった

<この10年を振り返って>

  • エイズ予防法案(1989年成立、1999年に廃止)が提出されたのは、1985年に日本初のエイズ患者が報告され、1986年の松本事件(「フィリピンから出稼ぎに来ていた女性が帰国後の検査で陽性と出た」という報道)や1987年の神戸事件(日本初の女性患者)や高知事件(「高知のHIV感染女性が近く出産」という報道)などが背景としてあった
  • 1989年のエイズ予防指針でも、専門家のみで作られ、患者と共通認識を持つことが難しかった
  • 現在は、治療薬も進化して、感染者を取り巻く環境も長期化かつ多様化してきている(どう対応していくのかが問題)
  • 当初のエイズ学会は、専門家だけが参加するイベントだったが、そういった学会は世界的に見ても珍しい
  • その後、厚生労働省の一部や関連団体の理解もあって、こういったスカラシップ制度が始まった経緯があって今につながっている
  • 「医療」だけでなく「福祉」についても一体化して考えていく必要がある
  • 専門家だけでは、感染者や患者の存在が欠けた内容になってしまう(多様なニーズに対応していく必要がある)
  • 例えば、どうしても「数値目標」に傾く傾向が強い(患者が置き去りになりやすい)

  • また、その時その時の「断片的な情報」になりがちで、流れが感じられない傾向がある
  • 例えば、「予防、予防、予防、そして予防」という今回の学会のテーマも悪くないが、どこかズレているようにも感じてしまう

  • HIV感染の場合は、他の病気と違って「セルフマネジメント」の視点が非常に重要になってくる
  • 例えば、専門家が一方的に支援する体制ではなく、感染者自身も対処していくという考えが大切である

  • 予防活動は、感染者も自ら参加することが重要だと思うが、関係ないとシャットアウトされないか不安

<HIV陽性者支援協会の今後について>

  • スカラシップ制度の継続
  • 各種関連情報の提供
  • 行政、医療、福祉機関といった関連機関との協力

【感想】

  • 一口に「10年」と言っても、背景や関連機関との協力など、大変な壁もあったんだろうなと思いました。
  • 自分自身が、こういった制度のおかげで、学会に参加して、ネットでは得られない貴重な情報に触れることが出来て、非常に有意義に過ごすことが出来ました。
  • また、HIVの治療には「チームで対応すること」の重要性を感じていましたが、さらに感染者自らも参加するという意識も大切だなと再認識できたように思います。
  • そう言われてみれば、どうせ感染者の多くは「性的に乱れているんだから」といったような発言もあったように感じました、事実かどうかは置いておいて、一部の専門家の間でもそういう認識なんだろうなと思いました。
  • 今後も、こういった制度が継続されることを切望します。

*補足

  • GIPAとは:Greater involvement of people living with HIVの略 、HIV陽性者のより積極的な参加のこと

※この記事は、「第29回日本エイズ学会学術集会・総会 HIV陽性者参加支援スカラシップ 報告書」(発行:HIV陽性者参加支援スカラシップ委員会)のために私自身が作成したメモをもとに、ブログ用に内容を修正加筆したものです。
※※私自身が補足した内容も含まれるため、実際には発表されていない文言もあります。
※※※なお、レポート化しなかった他の8つのテーマに関するメモは、SNS限定で公開しています。

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