さて、HIV薬の投薬タイミングが近づいてきました。
これまでもHIVについて、簡単にまとめてきましたが、投薬の前に、もう少し詳細にHIVを知る必要がありそうですね。
一般的に、細胞は「DNA→RNA(遺伝情報)→タンパク質合成→…」という流れの中で増殖していきます。
ところがHIVというウイルスは、レトロウイルス(RNAウイルス)と言われ、DNAをもたない(!)ため、HIVだけでは増殖できないんですよね?!
そのためHIVは、CD4という免疫機能の司令塔という重要な役割を担う細胞に取り付くことで増殖を可能にしているのです。
その増殖の仕組みを理解することは、HIV薬の役割を理解する上で、必須知識となるので、ちょっと難しいのですが、できるだけ簡単にまとめてみようと思います。
HIVというウイルスは、
【1】RNA(HIVの遺伝情報)
【2】逆転写酵素(RNAからDNAに逆にコピーすることを可能にするもの)
【3】インテグラーゼ(もともとあるCD4細胞のDNAにHIVのDNAを組み込むもの)
【4】プロテアーゼ(合成されたタンパク質からHIVを分離させるもの)
という大きく4つの要素から構成されています。
HIVというウイルスの増殖は、上記の細胞の増殖とは違う流れになります。
「HIVがCD4細胞に取り付く(4つの構成要素をCD4細胞内に放出)→逆転写酵素によってRNAからHIVのDNAを合成する→合成したHIVのDNAをもともとあるCD4細胞のDNAに組み込む(インテグラーゼによる)→タンパク質合成→HIVのタンパク質のみ分離する(プロテアーゼによる)→増殖したHIVの放出(CD4細胞は破壊される)→…」
といった感じです。
ちなみにHIVは1日に数億から数十億個以上の増殖を繰り返すと言われているそうですが、CD4細胞を破壊しすぎると、HIV自身も増殖できなくなるので、ある程度の限定された数の中で増殖していると言えそうですね。
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