12/9に新しいHIV治療薬「デシコビ(Descoby)」の製造販売が承認されたそうです。
この薬も「ゲンボイヤ」同様に、全く新しい薬ではなく、既存の「ツルバダ(エムトリシタビン、テノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩)」を構成する2つの成分のうち、「テノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)」を別の新しい成分「テノホビル・アラフェナミド(TAF)」に置き換えたお薬です。
「スタリビルド→ゲンボイヤ」と同様に「ツルバダ→デシコビ」と、それぞれTDFがTAFに変わったということなのですが、正直なところ、なぜスタリビルドよりもツルバダの発売が遅れているのか、よく分からなかったのですが。。。
どうやら、JT(日本たばこ産業)のプレスリリースを見てみると、デシコビは2種類発売されるようですね。
それは、LTとHTの2種類で、その違いはLTがTAFの量が10mg、HTは25mgとなっており、単純にTAFの量が違うようです。
また、それぞれの使い分けについても説明されていて、リトナビルまたはコビシスタットと併用する場合はLT、それ以外(通常)はHTを服用することになるようです。
ちなみに、リトナビルという成分が含まれているHIV治療薬は、「ノービア」「カレトラ」そしてC型肝炎薬である「ヴィキラックス」です。
またコビシスタットという成分が含まれているHIV治療薬は、「スタリビルド*」「ゲンボイヤ*」そして11/22に製造販売承認されたばかりの「プレジコビックス(ダルナビル、コビシスタット配合剤)」です。
*スタリビルドとゲンボイヤは、デシコビと同様の成分が含まれているので併用されることは無いと考えられます。
以前も、軽く本ブログでもご紹介していましたが。。。
TAFというのは、TDFよりも少量(1/10以下)でTDFと同様の効能がある上に、TDFよりも副作用(特に「腎機能低下」)が格段に少ないという治験結果があるそうで、関係者から期待されている成分の一つとなっています。
具体的には、テノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩300mg(ツルバダ)がテノホビル・アラフェナミド25mg(デシコビHT)に置き換わるので。。。
単純に言えば、300-25=275mgの用量が少なくなることになり、その分巨大な錠剤が小さくなることにつながります。
HIV感染者にとっては、副作用の少なさと併せて飲み込みやすさにもつながるので、非常に嬉しい変化と言えそうですね。
特に「ツルバダ」は、HIV治療薬の中でも評価が高い薬の一つで、服用されている方も多いので、デシコビを心待ちにされている方が少なくないです。
HIV感染者としては、いろいろな「選択肢」が広がることは歓迎したいところだと思います。
なお、ゲンボイヤの場合は、製造販売承認から12日後より販売開始されているので、デシコビも同様、年内(今月中)に販売開始される可能性が高い**と思われます。
**2017年1月27日から販売開始されるようです(2016/12/27追記)。
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