HIV感染と死のイメージ

このところ「死」について考えてきましたが。。。

HIV感染のイメージについて、改めて考えてみたいと思います。

あなたは、「HIV」に感染すると、どうなっていくイメージをお持ちでしょうか?

自分を含めて、多くの方が。。。

感染して潜伏期間を経て(10年後とかに)「エイズ」という病気になって、やがてやせ細って死んでいく完治薬のない恐怖の病

といったイメージを抱くのではないでしょうか?

だからこそ、HIVになんか感染したらどうしようという深刻なノイローゼに陥る方もいらっしゃるのかなと思うことがあります。

もちろんこのイメージは、間違っているとは言えないと思うけど、少し補足が必要なのかなと思います。

まず、最も「補足すべきこと」は、「完治薬がない」という点です。

確かに現時点で、完治薬は存在していません。

ただ、HIVの活動を抑え込んで、エイズの発症を遅らせる薬は、かなり精査されてきている段階にあります。

そのため、HIV感染者の中で、エイズを発症する方は、ひと昔前と比較すると激減しています。

エイズの中でも、比較的世間に知られている「ニューモチスチス肺炎(旧カリニ肺炎)」や「カポジ肉腫」といった病気の治療薬も同様で、HIV治療薬と併用することで、エイズに罹ったからといって死に至る病気とは必ずしも言えない状況にあります。

しかしながら、HIV感染を知らないままエイズを発病したりすると、場合によっては薬が間に合わなくなることもあるので、「早期発見」がとても重要です!

たまに、HIV検査を受けに行かない理由として、「HIVに感染していると告知されたくない」からと言われる方がいらっしゃいますが、恐ろしい勘違いだと思います。

また、HIVに感染すると、何か特別な状態に陥るのではないかというイメージがあると思います。

確かに、「免疫力」が衰えてしまって、エイズに限らず、あらゆる病気に罹りやすく進行しやすくなると考えられます。

しかしながら、HIVに感染していなくても、免疫力は衰えてきます。

代表的なものは、「老化」です。

さらに、免疫力が衰える病気は、(あえてふれませんが)HIV感染以外にも存在しています。

そのため、エイズと言われる病気に罹るのは、HIV感染者だけではありません。

もっと言えば、免疫力が衰えていなくても、それ以上に強力な病気(例えば「がん」など)に罹ることもあります。

こうして整理してみると、人の体の中では「病気の原因」と「免疫力」が常に体の中で戦っている状態で、免疫力が「病気の原因」に負けてしまうことが、病気になって、場合によっては死に至ってしまうと言い替えられそうです。

免疫力の強さは、個人個人によって違っていて、HIV感染者には「指標」のように使われる「CD4」の数値が代表的な基準だと思います。

HIV感染が恐れられているのは、治療せずに放置していると、このCD4をどんどん下げてしまうことです。

このCD4とエイズと言われる病気には、ある程度の相関関係があって、概ね200という数字を境に病気を発症するリスクが高まると言われたりします。

もちろん、この数字が高い方が免疫力が強いと考えられますが、高ければ安心というものでもありません。

免疫力よりも強い「病気の原因」には勝てないからです。

その代表的な病気の一つが「がん」です。

がんも、HIV感染と同様に、完治薬は存在していません。

しかしながら、早期発見が出来れば、その部分を外科的に手術することで治ったり、薬で進行を遅らせることも出来るようです。

がんもHIV感染もその他全ての病気も、「早期発見早期治療」がキーワードと言えそうです。

HIV感染と「死」とは直結したイメージでとらえられがちですが。。。

死なない人はいないわけで、「がん」などの病気で亡くなる方もいれば、交通事故や自然災害で命を落とす人も、「老衰」で亡くなる方もいます。

人は、いつまでも永遠に生きるものだと錯覚してしまいがちですが。。。

限りある人生(死というピリオド)を受け入れることが、逆に、今を充実して生きられるのかもしれません。

そんなことを思うのも、半世紀ほど生きてきたからかもしれませんが。

コメント

  1. そう より:

    陽性者、それも発症組の知り合いが多いせいかもう死のイメージは薄れてました。発症=死の時代ではないと。
    自腹で何度もエイズ学会に参加して、様々な症例と回復の報告を聞いたのもその思いをより強くしました。

    一方で個人的な交友のなかで40代50代もっと上の世代では情報と知識のアップデートが全く進んでいない事も個人的に強く感じていました。

    またエイズ学会に参加していて「見落とし」や保険適用後も差し戻しを恐れての一般医療機関が検査に踏み切りづらい事象の報告など、まだまだ疑って貰えなくて手遅れって事もないとは言えないよねという思いも持っていました。

    そして去年、アラ還の見落とし?疑われず?自力歩行困難で運び込まれ診療所から大病院へ転院し厄介な病気が判明、2度目の転院時に判明し拠点病院へ移るという騒動に巻き込まれたのでした。
    当然治って退院できると思っていたものの、旅立ちという形での退院に。

    ぶっ倒れるまで我慢しないで、経過が思わしくなかったら裏切りと思わずセカンドオピニオン考えて、ゲイだったら(行為があった年は)検査受けとこう・・・わかるのが怖い?まだまだ力不足だけど早期発見のメリット、一緒に生きていく方法、ほったらかしてぶっ倒れても旅立ちには長い道のりがあること・・・伝えていきたいと思います。
    おせっかい?それでも良いです。

    • セカライ セカライ より:

      ここ数年で「最も進歩した薬」と言われるHIV治療薬ですが、専門医ですら追いついていない(手探り状態の)ところも少なくないのかもしれません。

      HIVの治療については、「専門医と一緒に治療していく」という姿勢が大切なのかも…と、思うことがあります。

  2. そう より:

    HIV治療は拠点病院制度である程度以上のレベルで提供されていると思います。
    ただ、反面HIVは拠点病院だけが見る特殊な病気、普通の人はかからないと思い込んでいる方もいるようで、それはそれで問題だな。と思います。

    • セカライ セカライ より:

      そうですね。

      HIVの治療は、そう難しい治療では無いと思うけど、悪化した場合の対応は、易しいわけでもないからかもしれません。

      「感染しても悲観しなくてもいいけど、かといって感染してもいいとは言い難い」

      HIVの位置づけは、難題です。

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