今回は、ほとんどの妊婦の方が妊娠3ヶ月頃に受ける「HIV検査(一次検査)」で陽性だった方に伝えたいことをまとめてみようと思います。
妊婦じゃない方は、以前にまとめた「あなたに伝えたいこと~HIV陽性告知されたばかりの方へ~」をご参照下さい。もちろん妊婦の方もご一読下さい。
はじめに、この記事の冒頭に「ほとんどの妊婦の方」という表現を用いたのは、どうやら妊婦の方の同意が必要という意味ですが。。。この検査は全員に受けて欲しいと私は思います。それは、妊婦本人というよりも、その子供のことを考えての意見です。仮に妊婦本人が受けなくてもいいと思っていたとしても、子供のために受けてもらいたいのです。もちろんそのことは妊婦本人のためにもなることは言うまでもありません。
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HIV陽性(の可能性があると)告知されて、混乱されているかと思います。
まずは。。。
「深呼吸をして、気持ちを落ち着かせてみましょう!」
ふぅ。。。
できるだけ分かりやすくまとめようかと思ったら、とても分かりやすい資料を見つけたので、まずはこちら(↓)に目を通して下さいね^^
◆妊婦HIV検査(一次検査)で結果が陽性だった方へ
妊婦の場合、通常のHIV検査と違って、一次検査での「偽陽性(感染していないのに感染しているような結果となること)」の可能性が非常に高いと言われています。
その確率は90~95%と言われているので、ほとんど感染していない方ばかりということになります。
まずは、落ち着いて「二次検査(確認検査)」を受けて欲しいなと思います。
二次検査(確認検査)については、一次検査をした医療機関で実施するか、もしくはそこで紹介してくれる医療機関で受けることになると思いますが。。。
できれば、HIV・エイズの拠点病院*で受診された方がいいのではないかと、私は考えています。
*「拠点病院診療案内」を参照して下さい。
仮に、感染していた場合の対応が非常にスムーズで安心できるからです。私自身も一次検査は保健所でしたが、二次検査(確認検査)は拠点病院で受けました(費用は自己負担になりましたけど)。
ちなみに、HIVに感染しているかどうかは、二次検査(確認検査)で確定しない限り、専門医ですら断言できませんので、素人がクヨクヨ悩んでも何も解決しません。
あれこれ真剣に悩むのは、二次検査(確認検査)でHIVに感染していることが100%確定してからでよろしいかと思います(特に、妊婦の場合は偽陽性の可能性が非常に高いですから)。
ただ、感染していない確率が100%ということではないので、念のため、感染していた場合についてイメージしておくことも重要かなと思います。
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もしHIVに感染していた場合。。。
何も知識がない方だと、動揺して赤ちゃんをあきらめて中絶する方向に考える方もいるかもしれないけど。。。
「妊婦のHIV感染 ≠ 赤ちゃんのHIV感染」
ですので、とにかく落ち着いて下さい!
万一、赤ちゃんに感染してしまっても、「HIVに感染しているから」という理由で、その命をあなたの意思で断とうと思わないで下さい!!
現在は、きちんと治療する(=HIV治療薬を服用する)ことで、エイズの発症を遅らせることが可能なので、あなたがイメージされるような悲劇的な人生になってしまうというわけではないですから。
また、お金について心配という方もいるかもしれないけど、出産、子供、さらにはHIV治療に関して、それぞれ公的な制度が整備されているので、あなたが考えているよりは少ない額で大丈夫だと思いますよ。
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仮に、あなたがHIVに感染していたら、まず「赤ちゃん」への母子感染の確率をできるだけ下げることを考えなくちゃいけません。
そのためには、妊婦本人が(先天性奇形の発生を避けるために妊娠14週以降から)「HIV治療薬」を毎日服用することが必要です。
妊婦の場合は、できるだけ子供への影響がないようなHIV治療薬の組み合わせが推奨されているので、出産するまでその薬を服用する(出産後もそのままの薬でいいかどうかは担当医と相談して決める)ことになります。
また出産そのものは、自然分娩ではなく、帝王切開が推奨されています。これも赤ちゃんへの母子感染の確率を下げるためです。
さらに出産後も、母乳による育児は禁止となります。母乳にはHIVがたくさん含まれているためです。赤ちゃんには念のため(生後6~8週間まで)HIV治療薬(シロップ)を与えます。これは仮に出産時に赤ちゃんの体内にHIVが侵入したとしても、HIVに感染するのを予防するためのものです。
そういった対応をすることで、母子感染の確率が0.5%になるとされています。何も対応しなかった場合は20~30%と言われているので、冒頭のHIV検査がいかに大切か理解していただけると思います。
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あなた自身が、HIVに感染していると告知されるだけでもショックだと思うのに、妊娠というデリケートかつ時間も限定されていて、その動揺は計り知れないと思いますが、まずは落ち着いて下さい!
日常生活では、HIVの量が多く含まれている「精液」「膣分泌液」「血液」「母乳」に注意すれば、その他は、いつも通りと考えていいと思います。
詳細な情報は、本ブログのほか、ネット上にも関連情報がたくさんあると思うので、参照して下さい。
ここでは、HIV感染している妊婦特有の問題について、少し考えてみたいと思います。
まず、「ご主人」には(二次検査で感染確定となったら)必ずHIVに感染していることを伝えて下さい。ご主人も感染している可能性があるからです。
また、(結婚されていない方や離婚された方などで)ご主人以外に心当たりがある場合も、できればその方に連絡された方がよろしいかと思います。
妊婦の場合、誰から感染したのか、ピンポイントで判明することも多いかと思いますが。。。
HIV感染者の立場で言えば。。。
「その方」を責めないで欲しいです。基本的には、悪意を持って感染させたわけではないと思うからです。
感染させられたことを責めるよりも、これからのこと(もちろん子供のことを含めて)を前向きに考えて欲しいと思います。
感染したという事実は、もうどうしようもないことですから…(責めることで何か解決するのであればいいけど…)。
また、可能性は極めて低いと思うけど、(薬害エイズのように)SEX以外の理由で感染したことも考えられないわけでもありませんし…。
HIV感染とは、実に皮肉なもので、感染したことでついつい「ネガティブ(後ろ向き)な思考」になりがちだけど。。。「ポジティブ(前向き)な気持ち」になることが、いろんな意味で重要になってくる病気です。
そうすることで、かえって感染前の人生(ファーストライフ)よりも、感染後の人生(セカンドライフ)の方を充実させることも、あなた次第で十分可能です。それを納得できるまで、ある程度、時間がかかるかもしれないけど。。。
これは、妊婦に限らず、すべてのHIV感染者に言えることなのかもしれませんねU^ェ^U
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